居酒屋でおなじみの「ハイボール」。
シュワッとした炭酸とウイスキーの香りが楽しめる、定番のお酒ですよね。唐揚げや焼き鳥との相性もよく、ビールに続いて注文する人も多いのではないでしょうか。
ところで、ふと疑問に思ったことはありませんか?
なぜ、ウイスキーの炭酸割りを「ハイボール」と呼ぶのでしょうか?
英語で書くと「Highball」。直訳すると「高いボール」ですが、お酒とはあまり関係がなさそうな言葉です。
実は、ハイボールという名前の由来には、ゴルフ場やアメリカの鉄道にまつわる説など、いくつもの興味深いエピソードがあります。
今回は、ハイボールの名前の由来から日本で広まった歴史、おいしく飲むためのポイントまで、わかりやすく紹介します。
まずは、ハイボールの基本から見ていきましょう。
日本で「ハイボール」といえば、一般的にはウイスキーを炭酸水で割った飲み物を指します。
ウイスキーの芳醇な香りを楽しみながら、炭酸の爽快感も味わえるのが特徴です。
ストレートやロックではアルコールの強さを感じやすいウイスキーも、炭酸水で割ることで、食事と一緒に楽しみやすくなります。
ただし、厳密にはハイボールはウイスキーの炭酸割りだけを指す言葉ではありません。広い意味では、ウイスキー以外のお酒をソーダや水などで割った飲み物もハイボールと呼ばれることがあります。
日本では、ウイスキーを炭酸水で割ったスタイルが特に定着しているのです。
それでは、本題の名前の由来を見ていきましょう。
ハイボールの語源には諸説あり、現在も決定的な定説はありません。
ここでは、よく知られている3つの説を紹介します。
最も有名なもののひとつが、スコットランドのゴルフ場にまつわる説です。
昔、ゴルフ場でウイスキーのソーダ割りを楽しんでいた人のところへ、高く打ち上げられたゴルフボールが飛んできました。
そのボールを見て、「ハイボールだ!」と声を上げたことが、飲み物の名前になったという話です。
英語の「High」は「高い」、「Ball」は「球」を意味します。
つまり、直訳すると「高い球」。
ゴルフボールが高く飛んでいく様子と、お酒の名前が結びついたというわけです。
ただし、この話はあくまでも由来の一説であり、実際にこの出来事が名前の起源だったと確認されているわけではありません。
それでも、ゴルフ場でウイスキーを飲みながら生まれた名前だと思うと、なんだか洒落た雰囲気がありますね。
もうひとつ有名なのが、19世紀のアメリカの鉄道にまつわる説です。
当時の鉄道では、ボールを使った信号機が使われていたとされます。
信号のボールを高く掲げることが、列車に進行を知らせる合図になっていました。
この「ハイ・ボール」という合図と、ウイスキーのソーダ割りが結びついたという説があります。
さらに、アメリカのセントルイスに、ウイスキーのソーダ割りを好む信号係がいたというエピソードも伝えられています。
ただし、鉄道の信号と飲み物の名前がどのようにつながったのかについては、はっきりした証拠があるわけではありません。
ゴルフ場の説と同じく、興味深いエピソードのひとつとして知られています。
3つ目は、グラスの中で泡が上がっていく様子に由来するという説です。
ハイボールをグラスに注ぐと、炭酸の泡がシュワシュワと上へ上がっていきます。
その泡をボールに見立てて、「ハイボール」と呼ぶようになったという考え方です。
ゴルフや鉄道の説に比べると、飲み物そのものの特徴に結びついた説ですね。
ただし、こちらも確かな起源として確認されているものではありません。
このように、ハイボールの名前には複数の説がありますが、どれが本当なのかはわかっていません。
名前の由来を知ろうとすると、かえって謎が深まるところも、雑学として面白いポイントです。
名前の由来がわかったところで、次は日本での歴史を見てみましょう。
日本で本格的なウイスキーづくりが進んだのは、1920年代から1930年代にかけてのことです。
1923年には、サントリーの創業者・鳥井信治郎が山崎蒸溜所の建設に着手しました。そして1929年には、本格的な国産ウイスキー「白札」が発売されます。
1937年には「角瓶」が登場しました。
こうした国産ウイスキーの普及とともに、ウイスキーを水やソーダで割って楽しむ飲み方も広がっていきました。
1950〜60年代には、ハイボールを提供するバーや居酒屋が親しまれるようになり、ウイスキーを気軽に楽しむ文化が育っていきます。
ウイスキーは、ストレートやロックでじっくり味わうだけのお酒ではありません。食事と一緒に楽しめる飲み方としても、存在感を高めていったのです。
その後、日本のウイスキー市場は1980年代をピークに縮小していきました。
しかし、2000年代後半になると、ハイボールが再び注目を集めるようになります。
その普及を後押ししたのが、ウイスキーを炭酸水で割る飲み方を積極的に提案するメーカーの取り組みでした。
特に、サントリーが展開した「角ハイボール」は、居酒屋などで広く知られる存在になりました。
ウイスキーを炭酸水で割ることで、香りを楽しみながらすっきり飲める。食事にも合わせやすい。
こうした魅力が改めて注目され、ハイボールは幅広い世代に親しまれる飲み方になっていきました。
現在では、居酒屋だけでなく、家庭でも手軽に楽しめるお酒として定着しています。
ハイボールが多くの人に親しまれているのは、名前の面白さだけが理由ではありません。
飲み方そのものにも、魅力があります。
ウイスキーには、樽由来の香りや原料由来の香りなど、さまざまな個性があります。
炭酸水で割ることで、アルコールの強さが和らぎ、ウイスキーの香りや味わいを楽しみやすくなります。
もちろん、ウイスキーの種類や割る割合によって印象は変わります。
濃いめに作ればウイスキーらしい風味を楽しめますし、薄めに作ればすっきりとした飲み口になります。
ハイボールは、食事と一緒に楽しみやすいのも魅力です。
例えば、次のような料理がよく合います。
炭酸の爽快感が、脂の多い料理や味のしっかりした料理とよく合います。
居酒屋でハイボールと唐揚げを一緒に注文する人が多いのも、納得ですね。
せっかくなので、家でハイボールを楽しむときのポイントも紹介します。
一般的な目安として、ウイスキー1に対して炭酸水3〜4の割合から試してみましょう。
用意するもの
作り方
おいしく作るポイントは、材料をよく冷やしておくことと、炭酸水を注いだあとに混ぜすぎないことです。
何度もかき混ぜると炭酸が抜けやすくなるため、軽く混ぜる程度で十分です。
なお、アルコール度数はウイスキーの度数や割る割合によって変わります。飲みやすく感じてもアルコールがなくなるわけではないので、ゆっくり楽しみましょう。
今回は、ハイボールの名前の由来と歴史について紹介しました。
最後にポイントを振り返ってみましょう。
普段何気なく注文しているハイボールですが、その名前には意外なエピソードが隠されています。
次に居酒屋でハイボールを注文したときは、ゴルフ場やアメリカの鉄道の話を思い出してみてください。
由来ははっきりしなくても、話のきっかけにはぴったりです。
ただ飲むだけでなく、ちょっとした雑学を知ることで、いつもの一杯が少し違って感じられるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!