「あなたは左党ですか?」
もしこんなことを聞かれたら、ちょっと戸惑うかもしれません。
「左党って、左利きの人のことじゃないの?」
実は「左党(さとう)」には、お酒が好きな人、酒飲みという意味があります。
辞書にも「酒好きな人・酒飲み」という意味が掲載されている、れっきとした日本語です。
では、なぜお酒好きな人を「左党」と呼ぶのでしょうか。
その由来を調べてみると、昔の職人たちが使っていた道具と、なんとも日本らしい「言葉遊び」が関係しているようです。
「左党」はお酒好きの人という意味
まず「左党」の読み方は「さとう」。
「左党」と書いて「ひだりとう」と読むこともあります。
現在ではあまり日常会話で使われなくなりましたが、
- 酒が好きな人
- お酒をよく飲む人
- 酒飲み
といった意味で使われます。
たとえば、
「彼はかなりの左党だ」
と言えば、
「彼はかなりのお酒好きだ」
という意味になります。
ちなみに「左党」には、お酒とは別に「左翼政党」という意味もあります。
同じ言葉なのに、文脈によって意味がまったく違うのも面白いところです。
由来は「左手」と「ノミ」に関係している?
では、なぜ「左」なのでしょうか。
ここで登場するのが、昔の大工や鉱夫が使っていた道具です。
大工や鉱夫は、右手に「槌(つち)」を持ち、左手に「鑿(のみ)」を持って作業していました。
つまり、
右手=槌を持つ手
左手=ノミを持つ手
というわけです。
この左手を「ノミ手」と呼んでいたとされます。
ここから、日本語らしい言葉遊びが始まります。
「ノミ手」が「飲み手」に変わった?
「ノミ手」と「飲み手」。
声に出してみると、ほとんど同じですよね。
そこで、
ノミ手 → 飲み手
という洒落が生まれました。
つまり、「ノミを持つ左手」を「飲み手」とかけて、酒を飲む人を「左利き」と呼ぶようになった、とされています。
そして、その「左利き」から派生して生まれた言葉のひとつが、
「左党」
だったと考えられています。
なんとも昔の日本人らしい、粋な言葉遊びですよね。
つまり「左党」は本当の左利きとは違う?
ここは少しややこしいところです。
「左利き」という言葉には、もちろん現在と同じように「左手を利き手とする人」という意味があります。
一方で、昔から「左利き」には、
「酒が好きで強い人」
という意味もありました。
辞書にも、この意味が掲載されています。
つまり、
「左利き=左手が得意な人」
だけではなく、
「左利き=酒好き」
という意味で使われることがあったわけです。
そのため、右利きなのに「左党」という人がいても、まったく不思議ではありません。
むしろ、
右利きの左党
なんていう、ちょっと面白い状況も成立します。
「右党」という言葉もある
さらに面白いのが「右党」です。
「左党」が酒好きな人を指すのに対して、「右党」は反対に、
お酒が飲めず、甘いものが好きな人
を指す言葉として使われます。
つまり、
左党=酒好き
右党=酒が苦手・甘いもの好き
という関係です。
現在では「甘党」という言葉のほうが圧倒的に一般的ですが、昔はこんな表現もあったんですね。
「左党」と「辛党」は同じなの?
ここも少し気になるところです。
「辛党」という言葉も、お酒好きの人を指します。
「甘党」の反対が「辛党」というイメージがありますが、ここでいう「辛い」は、必ずしも唐辛子などの辛さを意味しているわけではありません。
一般的には、
甘いものより酒を好む人
という意味で「辛党」が使われます。
「左党」も「辛党」も酒好きという意味では似ていますが、語源は同じではありません。
「左党」は、先ほど紹介した「ノミ手→飲み手」という言葉遊びが由来とされているのがポイントです。
昔の日本人は言葉遊びが好きだった?
「ノミ手」を「飲み手」とかける。
こうして見ると、かなり洒落の効いた表現です。
現代でも日本語には、
「うまい!」
と思わず笑ってしまうような言葉遊びがたくさんあります。
昔の人たちも、生活の中でこうした語呂合わせや洒落を楽しんでいたのでしょう。
「左党」という言葉の背景には、そんな昔の日本人の遊び心が隠れていると考えると、単なる酒飲みの呼び名ではなく、ちょっと粋な言葉に感じられます。
「左党」の語源には諸説ある
ここで注意したいのが、「左党」の語源は完全に一つに決まっているわけではないということです。
「ノミ手」を「飲み手」とかけたという説のほか、酒を飲む際に左手で盃を持つことから生まれたという説明など、いくつかの説があります。
そのため、
「これが絶対に正しい由来!」
と断定するより、
「有力な説のひとつが、ノミ手→飲み手という言葉遊び」
と覚えておくのがよさそうです。
言葉の由来には、こうした「諸説あり」が意外と多いですよね。
だからこそ、調べてみると面白い!
まとめ|「左党」は昔の粋な言葉遊びから生まれた?
今回は「なぜ酒好きな人を左党と呼ぶのか?」について紹介しました。
ポイントをまとめると、
- 「左党(さとう)」は酒好き・酒飲みを意味する
- 「左利き」にも酒好きという意味がある
- 昔の大工や鉱夫は左手に「ノミ」を持っていた
- 左手を「ノミ手」と呼んだことが由来とされる
- 「ノミ手」を「飲み手」とかけた言葉遊びから「左利き」という表現につながった
- そこから「左党」という言葉が生まれたとされる
- 語源には諸説ある
「左党」というたった二文字の言葉にも、昔の職人の仕事や、日本人らしい洒落が隠れているんですね。
もし今夜、居酒屋で友人から、
「お前、左党だな!」
なんて言われたら、
「知ってる? 左党の『左』って、昔のノミ手が由来なんだぜ」
と返してみるのも面白いかもしれません。
……ただし、雑学を披露しすぎて「話が長い」と言われない程度に。
お酒も雑学も、ほどほどが一番です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
それではまた!
